あいちトリエンナーレ騒動‐検閲か表現の自由か‐宮台真司、橋下徹、宇野常寛、櫻井よしこ

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宮台真司:抗議、脅迫、検閲は分けて考えるべき
宇野常寛:中身がどんなにくだらなくても、政府の検閲はNG
橋下徹:表現の自由と検閲についての勉強不足
櫻井よしこ:故人の親族の方々を傷つける行為は人としてNG

■宮台真司さんの見解(7:00~)

抗議は自由に、脅迫は警察マター、補助金恫喝(政府の検閲)こそが問題

→文化振興基本法
文化振興の中心は多様性、内容に介入してはいけないとある

レベルの低い政治家が自分たちの通した法案も知らない事が問題
これ以上論じることはないとして、話の後半は「パブリックアート」に、、、

■宇野常寛さんの見解
表現の中身がどんなに、くだらなくても、それを表現する権利は、脅迫的な妨害行為や、政府の検閲によって阻んではいけない

→税金が使われている事に関しては?
テレビなども、認可事業で既得権益に守られているが、その内容が下らなくても、外部の圧力によって潰されるべきではない
加藤浩次のジャイアントスイングはくだらないし止めた方が良いと思うが、彼がそれを表現する自由は全力で擁護する

参考:ヴォルテール「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

→今回の件は検閲なのか?
政府が補助金を打ち切るということは、公的な場で「お上の威光に逆らう表現は認めない」という事であり事実上の検閲

■ 橋下徹さんの見解(36:40~)

表現の自由と検閲についての勉強不足
すべての場所での表現を禁止するのが検閲であり、表現の自由の侵害である
しかし、
「今回は趣旨に合わないので断りますが、他の民間のところで自由にやって下さい」と言うのは「検閲」にはならない
昭和天皇の肖像画を燃やすこと自体は問題にはならず民間で自由に出来るが、それに公費投入するかを決めるのは知事の権限
「表現の自由」に関しても、表現者が、「補助金をくれ」「 ここで展示させてくれ」と主張する事は、表現の自由の範囲外

■櫻井さんの見解
憲法うんぬん以前に、故人の肖像画を燃やして
その灰を踏みつけるなどという事は
その親族の方々を傷つける事になるので、人としてNG
自治体のトップは、そのようなものに公費は使えないと毅然として決断すべき

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【各氏の見解の整理】
・抗議、脅迫、検閲は分けて考えるべきで、脅迫がNGなのは当然として、一番の問題点は政府による検閲と税金の用途
・宇野さんと宮台さんの見解は一致していて、政府は補助金恫喝によって検閲をすべきではない
・橋下さんは、検閲とは全ての場所での表現を禁止することであり、主催者側が出展を断ったり、政府が援助しないと判断することは検閲でも何でもない
他の場所で、いくらでも自由に表現で出来るのだから
・桜井さんは、表現の内容(誰かを傷つける等)によっては、公費が出せないというのは当然

【考えるべきポイント】
・橋下さんの言うように、戦中の日本や、独裁国家等のように、当局を批判することや、特定の宗教や思想を表現することを、公私の区分なく無条件取り締まられたのが「検閲」であって、補助金を貰えない事が「検閲」だという主張を、本当の「検閲」時に拷問や投獄などをされた人々が聞いたらどう思うだろうか。

・日本の民主主義はレベルが低いのか?他国では、多数の人が尊敬している人の肖像画を燃やすアートに補助金が出るだろうか?

・公的な「表現の自由」に程度の問題はないのか?
宇野さんは(例、ジャイアントスイング)、どんなに下らないことだとしても、表現の自由は全力で擁護するということだが、以下のようなグラデーションがある。それは、どう線引きするのか?
→(優良コンテンツ→普通、つまらない、くだらない、気持ち悪い、嫌悪的、ヘイト、傷つける表現、露骨な性的描写、強姦、殺人)
くだらないコンテンツをテレビや公の場で表現することはOKでも陰部を、公の場で露出することは法律で禁じられているし、人を殺す映像などの展示は禁止されるだろう(戦争などの歴史映像は別として)、では、無条件に全ての表現の自由はOKとは言えないのではないか?

・強姦や殺人まではいかない表現、桜井さんが言う、誰かを傷つける表現やヘイトに関しては、どう線引きするのか?

・他の人の人権や、心を傷つけることと、表現の自由が抵触する場合、どちらが優先されるべきなのか?

・今回、もしも昭和天皇でなく、ヒットラーの肖像画が燃やされていたら、人々はどう反応しただろうか?それでも反対する人は反対しただろうか?

・人はどこまで感情よりも原理原則を優先して、規則を定められるのだろうか?そしてそれこそが成熟した民主主義であり、皆の幸福につながると言えるだろうか?

【おわりに】

 今回の問題は、識者によっても見解が正反対になる複雑な問題なので、安易に答えを出さず、考えるべきポイントを整理するに留めました。ご自身で考えてみて下さい。

 

 

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【文責:著者名: 山崎純二 、本名: 山崎 順】
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