NewsPicksの佐々木紀彦さんが「編集力」について、非常に中身の濃い動画をリリースされたので、概要を紹介したいと思います。
【背景】今までは、日本は縦割り社会であったが、会社の組織力も強く、皆それなりに幸せであった。しかし今後の激動の時代においては、「編集力」を武器に個人として確立した人生を歩んでいかなければならない。
1.イノベーション
スティーブジョブスはドットをつなぐ事が大切だとスピーチしましたが、既存の縦割りの垣根を超えたイノベーションを起こせる人が希少人材となる
2.キャリア
100万分の1のオリンピックで優勝するような、技能を身に着ける事は難しいかもしれないが、3つ以上の分野で、100人に一人の能力を身に着けられれば、かけ算で100万人に一人の人材となれる
3.コミュニティー
会社が弱体化していく中で、会社、地域、趣味、SNS、家族など、人は5つ程度のコミュニティーに参加し、平野敬一郎さんが提唱する「分人」として、バランスをとっていく事が普通となる。その為にも「編集力」が必要となる
【イノベーションに必要な5つの編集力】
「イノベーションのジレンマ」を書いた、ハーバードのクリステンセン教授が、見出したイノベーションに必要な5つの編集力
1.関連付ける力
意外な要素やアイディアを結び付ける
→ある分野のスキルや知恵が全く異なる分野に応用される時、イノベーションが起こる
2.質問力
洞察六、方向性を誘発するような鋭い、疑問を持つこと
→それは人にぶつけても良いし、自分に問うこともある
3.観察力
新しい洞察やアイディアを得るための視点
→普段自分が行かないような分野や場所に出かけて行き、観察してみよう
→c.f. 観光の哲学「東浩紀」
4.人脈力
人と交流することで、協力したり、横展開出来たり、新しい刺激を得ることは多い
5.実験力
仮説を提唱し、実行する
幻冬舎の箕輪さんは、話したアイディアをどんどん実行する
→失敗から学ぶ
【イノベーターの3つの役割】
1.探す(スカウト)
大阪桐蔭の強さの秘密は、監督が優秀な人材のスカウトに力を入れているから
2.つなげる(マネジメント)
→良い人材や、アイディア、商品などをどう、つなげて相乗効果を生み出すか
3.見せる(マーケティング)
完成品を、どのようにPRしていくか
→いい物を作るところまでは頑張っても、効果的にPRする方法を知らない人は多い
【イノベーターの3つの素養】
人脈、教養、センス
川村元気さん「君の名は」のプロデューサーの話
(編集=プロデュース)
・時代性と普遍性が大切
多くの人は、今の時代の流れには目を光らすが、普遍性がないので成功しても一発屋で終わってしまったり、深みがなかったりする
・普遍性を磨くには、古典を読むことが大切
古典とは時代の風雪に耐えて読み継がれてきた人類の英知
世界中の知識人の共通の知識
古典新訳などで読むことをお勧め
・進化生物学的観点を持つことが大切
→結局人は本能や感情で動くので、人の根源的な欲求や情動に訴えかけられる財やサービスには訴求力がある
→21世紀になっても人は「部族ごっこ」をしている
【米国製エリートは本当にすごいのか】
欧米の大学では、圧倒的、教養力を身に着けるため、「読む」「書く」「プレゼン」の1000本ノックをしている
・大学生は年間、ヨム120冊4年で500冊を読む
→多読だけでなく、一冊の古典を自分のものとするまで繰り返し読むことも大切
→「読書百遍義自ら見る」
・読んだ内容を自分なりにまとめて、論文として書く
→何かを書くためには、聞いたり読んだりして理解することの百倍の背景理解が必要
・それを分かりやすく人々の前でプレゼンする
→伝える事の難しさ、、、
その上で、賛否に分かれて議論(ディベート)を繰り返す
【ハーバード大学が大切にしている3つの事】
・外国語
・説明力 池上彰さん的な
・一般教養
8分野の教養
1.世界の社会
2.世界の米国(日本)
3.美学と解釈
4.文化と信仰
5.経済的・数学的推論
6.論理的推論
7.生命科学
8.物理化学
→島国である日本は、外国の文化、宗教に弱い
→理系の人は、芸術や感性に弱かったり、文系のひとは数字や科学的思考に欠けがあったりする
【西洋と東洋の両利きとなれ】
・欧米のブランドだけでなく、東洋(日本)的なものも大切にし、両者をかけあわせよう
→ジョブス→東洋思想を学んだ
→マイクロソフトのサティア・ナデラ氏はブッタの思想により、部署間の競争から共感へと社風を変えた
・日本の先人達も、西洋に学びつつ、東洋のバックボーンを大切にした
例)岡倉天心 茶の本 日本芸大創始者
渋沢栄一 日本資本主義の父
福沢諭吉 学問のススメ
→「和魂洋才」
・佐々木さん注目する阪急東宝グループや宝塚の創業者、「小林一三氏」
銀行、ビジネス、テクノロジーだけでなく、文化を大切にした
→俳句、美術、著作活動など
【伝えるためのメディアの選び方】
多くのメディアがある
→音声、映像、文章 イベント、直接会う等
アリストテレスは以下の3つの要素を説いた
・ロゴス(論理)
・パトス(感情)
・エトス(徳)
例えば、「直接会う」ことは上記の3つに関連するが
音声・文字→ロゴス(論理)的、
映像→パトス(感情)、エトス(徳)である
‐文書はすごく良いが、会うとろくでもない人がいたりする
‐映像では「人となり」が滲み出る
‐贈り物はパトスやエトスに働きかける良いメディア
【孤独力】
・人脈とは、人間力や仕事力の結果として生じるもので、交流会にいけば築けるというものではない
・「孤独力」とは、自分と対話できる力
・読書や散歩を通して、一人の時にも多くの脳内対話が生じている
・人や組織に従属せず、フラットに誰とでも、つきあえる
・「器量」の大切さ
器量とは人を包摂する力であり、強さ、優しさ、明るさが必要
器量を磨く方法
・修行する
・山っ気を持つ
・ゆっくり進む
・何も持たない
・身をささげる
SNSの時代、自己承認に陥り、自我に食われる人が多い
自分を超えた、使命、大儀、社会の為に身を捧げている人には魅力がある
【所感】
圧巻の内容!!いつもは聞き役に徹している、佐々木さんの「イズム」を垣間見る事が出来ます
個人的には、上述したような能力がある人もない人も
皆が「人間らしく」生きていける社会になれば良いと思いますが
その為にも、「器量(包摂力)」のあるリーダーが求められています
※NewsPicksパブリッシング『異質なモノをかけ合わせ新たなビジネスを生み出す 編集思考』(佐々木紀彦・著) 10月4日発売。
文責:山崎純二(本名 山崎順)
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