【苫米地英人×佐藤優】ネット時代は、誰もが「 国家の罠」「メディアの罠」にハマるのか!『魔女に与える鉄槌』

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『魔女に与える鉄槌』(羅: Malleus Maleficarum)とは、ドミニコ会士で異端審問官であったハインリヒ・クラーマーによって15世紀に書かれた魔女に関する論文。本書の執筆目的は、魔女の妖術の存在を疑う人々への反駁と、妖術の犯人は男より女が多いことを示すこと、および魔女発見の手順とその証明の方法について記すことであった。

第一部 – 魔女の定義とその能力に関する問題
第二部 – 魔女による悪行の類例。また、魔女と産婆の関係について
第三部 – 魔女狩り人や魔女裁判の心得と手引き

1490年、教会の異端審問部はクラーマーを弾劾したが、同書は魔女狩りのハンドブックとして読まれ続け、1487年から1520年までの間に13版を数えた。1574年から1669年までにさらに16版が印刷された。(魔女に与える鉄槌: フリー百科事典『ウィキペディア』より引用)

苫米地氏の解説によると、この本は当時、トンデモ本として発行されたものではなく、神学教授たちのお墨付きのもので、神学書のように精密に学術的に魔女の定義が書かれており、そして具体的な魔女裁判のやり方が真面目に書かれた本だということです。ドミニコ会とは、神学の研究に励み、トマス・アクィナスなどの学者を多く輩出した修道会です。異端審問の審問官に任命される者も多かったようで、この本はそのうちの一人であるハインリヒ・クラーマーによって書かれたものです。

またこの本は、グーテンベルクの活版印刷によって多くの判を重ね、3万部という当時としては驚異的な部数が刊行されました。実は、これは聖書をしのぐほどの部数であったということです。そして、ヨーロッパ全域でこの本が読まれ続け、結果として15世紀から18世紀までに全ヨーロッパで推定4万人から6万人が魔女と断罪され、火あぶりなどで処刑されたということです。また、これほどの大きな出来事であったにもかかわらず、表の歴史にはまったく出てこず、グーテンベルクの活版印刷の発明が語られるときに、聖書の印刷が語られることはあっても、『魔女に与える鉄槌』について語られることはありません。

そして、この魔女裁判の恐ろしいところは、ある人が魔女だと疑いをかけられた場合、自分でその疑いを晴らすことが非常に難しかったということです。それはこういうことです。嫌疑をかけられた人は、熱い釘をさされたり、指を締め上げられたりなどの拷問にかけられ、自分が魔女だと自白すれば魔女と判定され、自白しなければ「これほどの拷問にかけられても耐えられるのは魔女に違いない」とさらに疑われ、より厳しい拷問にかけられたということです。場合によっては無罪になることもあったようですが、最終的に何万もの人が魔女と断定され、火あぶりなどにされました。

そして苫米地氏は、これが過去の負の歴史であるにとどまらず、現代においても同様のことが横行しているとして、『現代版 魔女の鉄槌』という本を書かれました。この本は、誰でも発信することのできるツイッターなどを通して、多くのうそが真実として、そして真実がうそとして語られる危険性について語っています。また、人々が情報源を確認することなく思考停止に陥り、誰かの言葉に無批判に同調し、言葉による集団リンチが行われることに警鐘を鳴らしています。

まさに21世紀の今日、中世の暗黒時代に起こった魔女狩りとまったく同じように、集団で特定の個人を「たたく」ということが多発しています。また逆に、自分がたたかれることを恐れて、自分らしく生きることができない人が多くいます。例えば、自分は勉強が好きだとしても、周りの友達があまり勉強をしない雰囲気の場合、「ガリ勉」と言われることを恐れて勉強をしなくなったり、会社で昇進すると部下からの風当たりや責任感が増すということで、昇進したがらない人も増えたりしているようです。

このような時代にあって、私たちはどのような心構えを持つべきでしょうか。
魔女狩りが起こったもう一つの理由として、「社会不安」ということが挙げられています。

現代では、歴史上の魔女狩りの事例の多くは無知による社会不安から発生した集団ヒステリー現象であったと考えられている。(魔女狩り: フリー百科事典『ウィキペディア』より引用)

今後AIやロボット革命により、現在の私たちの仕事はほぼなくなるといわれています。また、貧富の格差は広がる一方であり、このままでは社会不安は確実に増していきます。ですから私たちは、過去の失敗の歴史に学び、同じような惨劇をこれ以上繰り返さないようにしなければなりません。

21世紀の神学(6)SNS時代の魔女狩り 山崎純二より一部引用

https://www.christiantoday.co.jp/articles/26199/20181107/theology-of-the-21st-century-6.htm

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