小原克博「黒人神学」(講義「現代神学」第6回、同志社大学)

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小原克博「黒人神学」(講義「現代神学」第6回、同志社大学)

同志社大学、小原克博先生の「黒人神学」
非常に明晰にまとめられています。
先生自ら公開されているようですが
神学校の密度の濃い授業を無料で視聴できるのは凄いですね。
概要を紹介します。

【前提】
全ての宗教や団体には、プラスの側面と
支配や抑圧、「縛る力」の両面がある。

宗教には特にその両面が、顕著にあらわれる事があるが
プラス面だけを強調し、暗部から目を逸らしてはいけないし
マイナス面だけを強調し
安易に全否定する罠からも自分の思考を守らなければならない。

【聖書】
聖書には、奴隷制を肯定しているような個所もあるが
当時の白人達は、聖書の他の箇所
(例えば、申命記14:10ひれとうろこのないものは何も食べてはならない。それは、あなたがたには汚れたものである。)
このような個所を厳格に守っているわけでもないのに
自分に都合の良い箇所だけを取捨選択して、奴隷制を容認してきた。

一方で、新約聖書では、2000年も前からパウロによって高い理想が語られていた
コロサイ人への手紙 3:11そこには、ギリシヤ人とユダヤ人、割礼の有無、未開人、スクテヤ人、奴隷と自由人というような区別はありません。キリストがすべてであり、すべてのうちにおられるのです。

近代にいたるまで、人類はなかなか、この理想を実現出来て来なかった。

【黒人の方々のキリスト教理解】
自分たちを支配し抑圧する白人たちの宗教であるので拒絶反応を抱く一方、
キリストが自分たちと同じように、迫害されたというシンパシーをも抱いた。
つまり、アンチノミー(二律背反)な思いを持っていた。

【黒人霊歌】
アフリカ古来の宗教的な踊りやリズム
奴隷生活の不安や苦悩
聖書的な希望

これらが合わさって、彼らの間から
生み出されてきたのが、黒人霊歌であり
それが、現在のゴスペルへと続いている

例えばDeep Riverという曲は
自分たちの苦悩が解放される希望を
ヨシュアがヨルダン川を渡って
約束の地に行くという
旧約の物語になぞらえて歌われたものである

【公民権運動】
ガンジー →キング牧師に受け継がれた、非暴力運動
マルコムによる、暴力を用いた権利の獲得

これらの流れが、オバマ大統領にいたるまで脈々と繋がっている

【解放の神学】
救いや希望を霊的なことに限定し
「今は苦しくても死んだら天国へ行けるから」と、
宗教をアヘンとして現実逃避のために用いるのではなく
現実の苦しみを解放するために、神学していくという流れ

これは、黒人神学においても通底している。

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